伝えるチカラ
1.「伝える」と「伝わる」
「伝える」と「伝わる」にはギャップがあります。伝えたと思っても伝わっていないことや間違って伝わったことを経験した事がありませんか?
相手にとっては「伝わった」ことだけが事実となります。
2.コミュニケーションの目的とは?
コミュニケーションの目的とはなんでしょうか?この問いにシンプルに答えるとしたら「こちらの意図する行動をとってもらうこと」といえます。それを表した標語を示します。相手が行動してくれた場合にはこれらのハードルをうまく超えたといえますが、行動してくれなかった場合にはどこかでつまずいたということになります。多くは「理解してくれない」「納得してくれない」ところではないでしょうか。相手が理解納得できるようにわかりやすく伝えるには「言葉を具体的」にすることです。
3.ビッグワード
「ビッグワード」とは、抽象的な言葉のことです。「なるべく早くお願いします」という言葉をよく聞くことがあります。しかし、「なるべく早く」という感覚は人それぞれが違います。あなたの「なるべく早く」は「今日中」「3日後」「1週間後」のどれでしょうか?もしくはこれ以外かもしれません。
ビッグワードを以下に示します。
① 形容詞:かなり・大変・もう少し・多めに・大きめに・早めに・なるべく
② 動詞:検討する・頑張る・対処する・意識する・注意する・責任を持つ
③ 名詞:QOL・最適な医療・バイタル・効率化・コスト削減・経営
④ 代名詞:あの手のこと・あのようなこと・そういったこと
⑤ 接尾語:変更などを・私的に・あなたなりに
こういった抽象的な言葉を使うことでエラーやミスが起こり、時には信頼関係に亀裂が生じる場合もあります。では、具体的な言葉とはどういったものでしょうか。
1)5W1H
抽象的な言葉を一切使わないということは現実的にはできません。大事なことはビッグワードの後に5W1Hを一つでも多く付け加えることです。
【5W1H】
① Why:なんのため
② What:何を
③ Who:誰が
④ When:いつ
⑤ Where:どこで
⑥ How:どのように
2)数字で表現する
数字というのは万国共通です。数字を使うことで抽象的な言葉を客観的な言葉に変えることができます。主張には「意見」と「事実」がありますが、大事なことは事実を伝えることです。
例えば、下段に2つの主張がありますが、どちらが「事実」でしょうか?
①「多くの職員が職場は信頼関係によって運営されていると思っている」
②「85%の職員が職場は信頼関係によって運営されていると思っている」
正解は②の方です。数字で表現することで明確な事実になります。
「みんなが言っています」という主張を聞くことがありますが、本当に全員が言っているのでしょうか?人は自分の意見を認めてほしいがためにこういった主張をする場合があります。しかし、言われた方は客観性に欠けているため正しい判断ができません。この場合は「5人に聞いてみたら3人が言っていました」というように数字を使って事実を伝えるようにしましょう。
4.論理の三角形(ピラミッドストラクチャー)
論理の三角形とは、主張と理由を構造化することで自分の主張を、わかりやすく相手に伝えることができます。「依頼」「提案」「報告」は論理の三角形で伝えると効果的です。そして結論の説得力は理由の質で決まります。
1)結論+理由3つ+結論
例えば、何かを依頼する場合
①結論
「○○していただけないでしょうか?」
「なぜなら、その理由は、」
②理由
「○○である」
「○○である」
「○○である」
「だから、」
③結論
「○○していただきたいのです」
【ポイント】
・結論+なぜなら+理由がつながっているか?
・理由+だから+結論がつながっているか?
2)具体例を使う
具体例を使うとイメージができるようになり伝わりやすくなります。人は理由と具体例を行き来しながら理解していきます。具体例には「体験談」「例え話」「会話調」があります。
例えば、自主トレの提案をする場合
①結論
「自主トレが必要です」
「なぜなら、その理由は、」
②理由
「関節が柔らかくなります」
「体力が向上します」
「仕事に行けるようになります」
③具体例(体験談)
「この自主トレを始めて3か月で仕事復帰された患者様がいます」
「だから、」
④結論
「明日から自主トレを始めていきましょう」